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木軸ペン(割れなど)との付き合い方

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みなさんこんにちは。

このページでは傷や割れなど、木材特有であり木軸ペンの負の部分について解説し、解決方法を示していければと思います。

購入者様の悩みの解決になれば幸いです

割れや縮み

割れ

縮み

一番気になる部分ではないでしょうか。

木材は温度や湿度によって収縮します。

その際に割れが発生してしまうことになります。

それでは割れや縮みの原因を記載していきます。

主な原因

湿度による木材の乾燥

木軸ペンにとって割れや縮みが発生するタイミングは【湿度が低い時】で、乾燥によって含水率が低くなってしまったことが原因となります。

日本の平均湿度は80%から50%になっており、7月は湿度が高く、1月が湿度が低いです。

木材は湿度によって内側に溜め込む含水率が変わり、湿度が高いほど水分を含んだ状態になります。

昭和の時代に建築された日本家屋では冬の12月~2月の湿度の低い時期には柱が乾燥し、縮む際にでるピシ・ピシといった割れが発生する音がよく聞かれました。

現在の家屋では気密性が高くなり、空調も利用されることから冬場に湿度が30%を切るほど乾燥が進んでいることがあります。

つまり、冬の時期、空調で管理された屋内にて割れや縮みが発生する可能性が高いと言えます。

無垢の木材にとって30%以下の湿度とは、砂漠の中に放置されているに等しく、木肌が荒れ、カサカサになってしまい、大変過酷な状況になっていると知っていただければと思います。

予防や対策

オイルを塗り、水分を加える

湿度による割れは乾燥によるものです、乾燥が進みそうであればオイルを木軸ペンに塗布し、含水率をあげてあげるのが予防となります。

屋内の湿度をあげる

加湿器などによって家全体の湿度をあげてあげるのも良いかもしれません

割れや収縮に強い樹種を選ぶ

私の経験上の話です

割れやすい木材 黒檀、リグナムバイタ、スネークウッドなどの堅木

縮みやすい木材 クラロウォールナット瘤、カバ瘤、杉(杢)など瘤材や樹脂を多量に含んでいる木材

比較的割れや縮みに強い木材 花梨瘤、欅、一位。花梨瘤は瘤材なのに木材としての変化が少なく木軸ペンの使用に適しています。

ページの下の方に割れの補修方法を記載します

縮んでしまった木材に対して明確な解決方法はありませんが、一般的には湿度が高くなり、含水率が高くなってくると、元に戻ることが多いです。

下記写真は湿度が高い時期に撮影したものです、カバ瘤の方は完全ではありませんがだいぶ隙間が小さくなってきています。(上のページと比べていただければ違いが分かるかと思います)

このように湿度によって無垢の木材は収縮することをご理解いただければと思います。

直射日光による急激な温度変化

車のフロントガラスや窓際などに木軸ペンを数時間放置してしまい、割れが発生してしまった。

などの経験をしないように急激な温度変化が起こる場所からは離して保管してください。

木軸ペンは真鍮パイプと木軸を接着剤で接着してあります。木が動きにくい状態を作ってしまっているので、急激な温度変化によって木材が動けずに割れてしまうことがあります。

原因②

未乾燥材を使ったことによる乾燥収縮

極稀に乾燥していない状態の木材を木軸ペンに加工し販売してしまう業者さんがいるようです。

乾燥が済んでいないので加工された状態から乾燥が進み割れや縮みが発生してしまいます。

一般的に木材は薄いほど早く乾き、3cmの厚みの木材は1年寝かせれば乾燥すると言われています。(樹種による)

業者さんの見分け方については、口コミなどの評価である程度見分けることができるのではないでしょうか。

補修方法

割れ

割れの補修につきまして当工房で販売した物に限り有償で補修しております。

とはいえ、下記に示すような手順で行えば、どなたでも簡単に補修することができますので、試していただければと思います。

用意するもの

マスキングテープ・瞬間接着剤・サンドペーパー(#240・#400・#800・#1500)・オイル

以下の手順で補修を行います。

①割れている部位の周りをマスキングテープで保護する。(目的はその他の場所に汚れや傷が付かないようにすること)

②瞬間接着剤を流し込む。(先の尖った瞬間接着剤を使うと綺麗にできます)

③1時間程放置します。(硬化を待ちます)

④#240番のサンドペーパーを使用して瞬間接着剤の盛り上がった部分を削ります。

⑤以下#240⇒#1500番まで順次使用して磨きます。

その際#400番まではマスキングテープを利用し、#800番からはマスキングテープを外し、周囲となじませるように瞬間接着剤を塗布した周辺も磨くようにしましょう。(口金など、金具が外れる場合は外してしまってかまいません)

⑥オイルや蜜蝋ワックスを塗布すると瞬間接着剤の部分に濡れ色が付き馴染んで見える様になると思います。これにて完成です。

撮影用にしっかりと光を当てているために割れて補修した部分が確認できますが、使い始めるとどこに傷があったのか分からなくなりますし、手触りも滑らかで気持ち良い仕上がりになります。

木材には傷が付き物ですが、デスクワークなどで使われる方、社会人で外回りの営業や学生さんで筆箱に入れ、ガチャガチャと持ち運ぶ方では傷の付き方が違います。

デスクワークで使用される方

傷について心配せずにお好きな樹種を選んでいただいて大丈夫です。

ハードな使い方をされる方

私の使い方もこちらになりますが、傷を思い出として許容できないようであれば硬い樹種を選ぶことをおすすめします。

画像の真ん中と少し上の部分に打撲の後が見えるかと思います。現場で落下させた時の傷ですね・・。

とはいえ2年間現場で使用して傷はこの程度なので、そんなに心配する必要は無いと思います。

それでも心配な方用に以下に樹種を示します。

柔らかい樹種とは⇒針葉樹全般(杉、紅檜、一位)、広葉樹の中では栃の木、ソフトメイプル

硬い樹種とは⇒広葉樹、栃の木やソフトメイプルは若干柔らかいです。

補修方法

打身・打撲などによって付いた傷はサンドペーパーによって滑らかにすることができます。

ですが、程度にもよりますが私は傷も思い出と想い、付き合っていかれることをおすすめします。

理由① 滑らかに傷が消せずに逆に気になるようになる可能性がある。

理由② 傷によって手触りに変化がありますが、しばらく使っていると傷の手触りがクセになる。

補修方法としてこのような提案をするのはとてもお恥ずかしいですが、どうしても傷を直したいと思う方は、販売店に問い合わせてみることをおすすめします。

汚れ

主に使い始めで付いてしまった汚れについてはなかなか綺麗にすることができません。

そのためにできるだけ汚れが付かないように使用していく必要があります。

下記画像は私が2年間使い続けたソフトメープルのシャープペンと新品のソフトメープルの違いを示しています。外仕事で激しく使っていますが、メンテナンスの仕方によって汚れがつきにくすることができますので参考にしていただければと思います。

左側が2年経過後・右側が未使用の状態です。

要点を押さえればそんなに気にせずに使用できるので、是非楽しみながら取り組んでみてください。

予防や対策

汚れやすい色彩を選ばない

一番簡単な予防策になります。

私が考える汚れとは、学生さんが通勤で使用する筆箱の中でガシャることによるシャープペンの芯などによる汚れ、建設業で働く職員が汚れた手袋で木軸ペンを持ち筆記を行うことでしょうか(私です)

基本的に白系の樹種は汚れがつきやすく、目立ちやすくなります。

一方で欅のような色彩では汚れは目立ちにくく、経年変化といった味と感じられるようになるでしょう。

木軸ペンを使うシーンを考えて樹種の検討を行っていただければ幸いです。

定期的にメンテナンスを行う

これは汚れに対する対策になります。

下の画像は私が2年ほど使ってきたソフトメイプルのシャープペンになります。

現場ではコンクリートやグリスと呼ばれる油などが木軸ペンに付着することがありました。

ですが、しっかりとオイルを染み込ませ、蜜蝋ワックスで保護した状態では汚れを弾くことができました。

当初は白く柔らかく、汚れに弱い木軸ペンでしたが、丁寧にメンテナンスを行い、オイルを染み込ませることで汚れが付きにくい木軸ペンへと変化しています。

そのため汚れに対する基本的な考え方は、【汚れを染み込ませないこと】になります。

定期的にオイルや蜜蝋ワックスを木軸部分に染み込ませて使用していただくことが重要になります。

一般的にはオイルは木軸部分の中に染み込み、蜜蝋ワックスは染み込み+木軸部分の外周に薄い膜を張ることで液体などが内部に染み込むことを防ぐ効果があります。

汚れ対策として最強はニスや漆になりますが、当工房では理由があり使用していないのでご了承くださいね。

メンテナンスの頻度

1ヶ月に1回程度を推奨します。

特に購入いただいてから半年ほどはお願いできれば幸いです。

半年以降は必要がないわけではありませんが、半年の間木軸ペンに付き合っていただいていると、段々とメンテナンスの感覚がわかってきますので、その先の頻度についてはお客様にお任せしています。

それでも悩まれる方は1ヶ月に1回程度と思っていただいて結構です。

メンテナンスの効果

メンテナンスの効果には蜜蝋ワックスなどによる木材に膜をはる効果のほかに簡単な汚れを除去する効果もあります。

付属の布やティッシュペーパーに蜜蝋ワックスやオイルを塗布し木軸部分を丁寧に撫でていると汚れが除去されます。

この効果については気持ちが重要ですので愛情を込めて丁寧にスリスリしていただければ汚れが落ちます。

また、メンテナンスを行うと木材は濡れ色といって最高に美しい状態に戻ります。杢のある樹種では杢の部分に輝きが戻り、購入当初のうっとりとした色彩を感じることができ、より一層愛着を感じていただくことができますので、定期的なメンテナンスは是非行っていただきたいです。

補修方法

汚れが付着してしまった木軸ペンの補修方法は主に2つになりますが、どちらも少し厳しいです。

方法① サンドペーパーにて汚れている部分を削り取る。

方法② 上記方法で除去できないような部分に汚れがついてしまった場合には濃い色彩の塗料で全体を加色する。

どちらの方法も完全に汚れが除去できるかと言われれば微妙な解決方法となります。

状態によって補修方法は変わりますので一度販売店さんにお問い合わせしてみることをおすすめします。

大変申し訳ありませんが、一番大切なことは【汚れがつきにくい状態を早めにつくる】ことになります。

まとめ

それでもずっと使ってほしい。

今まで説明してきたように無垢の木材には数々の欠点と呼べる事象がありました。

ですが、欠点も味になりますし、思い出になるものです。

私は木材の欠点よりも良い点に目を向けてご利用いただければと思っております。

古来より、愛着が湧く道具とは手のかかるものだったと思います。

大工さんの手道具であるカンナやノミ、昭和初期の自動車は自らメンテナンスをしなければならないものでした。現在私の愛用のチェーンソーも刃を研ぎマメにメンテナンスをしています。

使うほどに愛着が湧き、使い込むほどに古美る(ふるびる)道具の良さを知っていただき、お付き合いいただければ幸いです。

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