私は人一倍愛情を持って木材と接しています
趣味で木工を始め、初めての作品を作った時の話です
樹齢数百年のブナの木を加工することろから私の木工家の活動は始まりました。薪にするために伐採してから屋外で放置しておいたブナの丸太を斧で割ったその時、綺麗にスポルテッドの模様が入った板面が現れたのです
その時でした、この不思議な模様の入った木材で何か作ってみたいと思い、最初はお皿をおもに手作業で何日もかけて整形し、仕上げのサンドペーパーを1500番までかけて、くるみ油を塗り込みました
完成した瞬間から木の温もり・つるつるの手触りがとても心地よく、また時間をかけて丁寧に作ったこともあって、とても愛おしい感情をもつことに気が付きました
下の写真は同じブナの木の瘤の部分から作ったお皿です
樹齢が高く木目が緻密で瘤杢とスポルテッドが共演しています、虫穴が見えますがそのうち虫穴も景色として楽しめるようになるのは不思議なものですね、私は完全なものよりも不完全なものを好むのかもしれません
少し私の木材に対する変わったエピソードを紹介します
- あるとき偶然天然の木曽檜の板を手に入れる機会がありました、天然の木曽檜は一般的な檜に比べて香りが強く当時の私は檜=お風呂の湯船という偏った思考をしていたため、その香りを楽しむために長さ1.5m幅50cm程の板をお風呂の洗い場に数ヶ月いれて家族に迷惑かられていたことがありました。※とても良い香りでリラックスすることができたのは良い思い出です
- また、山桜やツゲ等とてもツルツルになる素材で作った自身の作品を布団に入れて毎日一緒に寝ていたこともありました
- それから、私の趣味の一つに木製の火鉢(関東長火鉢)の収集があります。関東長火鉢は金具等の装飾が少なく、黒柿の良杢や欅の玉杢等、鑑賞性の高い木材の杢目の良さで出来をきそって作られているため、杢マニアの私にはたまらない程の良い作品が多く、これも家族を少し困らせています
- そして現在も寝室に乾燥途中の黒柿を毛布に包んでそっと置いてじっくり乾燥を行っているのですが、家族にはとても迷惑がられていますし、寝室の中にも木材の板がいたるところに立て掛けてあります
だから丁寧に作り大切に使ってほしい
なんだか一見家族に迷惑がられたエピソードになってしまいましたが、木材への偏った愛情を感じていただけたでしょうか。そんな私の作る作品ですので、できるだけ手触りの良いように作りたいを思って作業をしていますし、自身の作った作品を貴方に大切に使ってもらえるように丁寧に心を込めて作っています